2014年製Gibson Les Paul 1957(R7) Conversion



2014年製ギブソン レスポール Historic Collection 1957モデルです。
2013年から2014年にかけて、ご存知のようにヒスコレはそれまでの仕様から大きな変更が加えられて よりビンテージテイストを感じるギターとなり、それが後のTrue HistoricやHistoric Selectへと繋がっていきました。

今回のご依頼は、こちらのギターのネックを1957年製レスポールスペシャルのビンテージネックに挿し替えるモディファイです。
ネックは、演奏性はもちろんサウンド面においても大きな比重を占める非常に重要な部分ですから、どのような変化を遂げるか私も非常に興味深いご依頼です。
 

挿し替える1957年製Les paul specialのネック。
非常に貫録のあるルックスです。悪く言ってしまえば塗装面など年代相応にかなり劣化していますが、反りや捻じれ等も無く 機能面では非常に良い状態を保っています。 現時点で約60年が経過したネックですから、当然材もしっかり乾燥しており、今から完成時の素晴らしい鳴りに期待が膨らみますね
 

ネックを挿す前に、2014年製ヒスコレR7のボディトップのカービングを整えます。
オーナー様のご希望により、1953年のゴールドトップのカービングをより忠実に再現していきます。機械には頼れない、自分の手や指先の感覚だけが頼りの緻密な作業です。
 

 

ネック周りの足りない木材は、1961年製Gibson Melody Makerのボディ材(ホンジュラスマホガニー)を移植して使用しています。
 

 
作業写真が一気に飛んでしまいましたが、57年製ネックを挿し終えた画像です。
ヘッド裏のシリアルナンバーには、オーナー様のプライバシーを尊重しモザイクを入れさせていただきました。
 




 ヒスコレの指板に交換です。
 

 

約60年という歴史を生きてきた貫録が現れたヘッドストック。
2014年製の比較的新しいボディと 1957年製のビンテージネックがタッグを組むことにより、互いが互いの息吹を吹き込みながら新たなサウンドを作り出すのです。
 

 

ジョイント部分も自然に仕上がっております。
深みのあるブラウンフィニッシュが渋さを醸し出していますね。
 

この記事1枚目の写真と比較していただければ、同じゴールドトップでも色味が全然異なることがおわかりいただけると思います。塗料の配合やブラス粉でかなり仕上がりの印象が変わるのです。

Gibsonヒストリックコレクションは、現在入手できる木材やパーツ、染料を駆使してビンテージライクなサウンドをしっかり作り上げてくるあたり、Gibson Custom Shopの技術や経験はさすがだと唸らされます。しかしそこに本当のビンテージ(今回は57年のネック)を組み込むことにより、「現代の技術で再現されたビンテージ感」とも異なる新たなビンテージモダンサウンドが生み出されるという非常に興味深い結果となりました。
 
 
プロギタリストの宍倉聖悟氏と鳴海賢治氏に、工房で演奏していただきました。